「和食を支えるだしの健康機能」を聴いて - 恰幅の良い彼のblog
スポンサーリンク

「和食を支えるだしの健康機能」を聴いて

先だって、日大の生物資源科学部で行われた公開シンポジウム「食機能としての”食欲”を考える」を聴いてきました。

これが、なかなか面白い内容だったので、お土産話をまとめてみようかと思います。長いので、何度かに分割してね。

第一回目は味の素の研究員の方が講演されたかつおだし研究のお話です。

我々がだしを好むのは、単に”旨いから”というだけでなく、何らかの健康機能があるからではないか。そしてその嗜好は学習によって強化されていくのだというとこが特に面白かったな。


「和食を支えるだしの健康機能~消化管から脳まで~」


日本人は高寿命で肥満も少ないが、これは食生活の影響でもある。和食で重要な役割を果たしているのがだしで、これによって欧米食に比べ、油やカロリーを抑えた食事に満足感を補うことができている。

しかし、戦後に日本人の食生活は欧米化が進み、それに比例して、だしの購入額は減ってきている。このままではマズイということで、ユネスコの無形文化遺産登録など、和食保護の動きが高まっている。

”おいしさ”とはなにか
おいしさの感じ方は人それぞれに違っている。単に味覚だけの話だけではなく、見た目や食感や香り、健康状態や食事のロケーションも関わってくるからだ。また子供の頃に分からなかった鮒ずしの旨さが大人になって分かるようになったり、食の経験を積むことも重要な要素といえる。

”だし”とはなにか
だしとはグルタミン酸、グアニル酸、イノシン酸などを水や油で抽出したもの。さらにこれら旨み成分だけでなく、天然出し由来の香りや飲んだ後に消化管から立ち上ってくる何かも構成要素となる。

かつおだしについて
かつおだしの成分を見ると、旨味成分であるイノシン酸は3%程度であまり多くは含まれておらず、乳酸やヒスチジン、クレアチン、アンセルやミネラル等、むしろ苦味や酸味がほとんどである。欧米人はこれらを魚臭さや生臭みとして嫌う。

だしの経験学習
では、なぜ、日本人はかつおだしをおいしく感じるのか。それは単に味やこ香りの好ましさ故でない。遺伝子や現行の食事内容の他、経験学習が重要になっていると思われる。

水とだしを比べた、ラットの実験では、初日には同程度に飲まれていた両者が、日を追うごとに、だし優位となり、その嗜好性が著しく高まっていく結果が得られている。

また、別の実験では、だしを摂ると油の嗜好は抑えられ、逆に油を多く摂るとだしの嗜好は抑えられるという結果も出た。

かつおだしの健康効果
かつおだしについては、油や糖と違って、摂取の際に脳の報酬系は関与しないことが分かっている。では何でもって、摂取を動機づけされているのか。何か他に我々の健康に寄与する機能が存在からではないか?

かつおだしを飲んだ後に様々な検査をしたところ、胃の電気活動や唾液分泌が促進された。また胃の排出速度を遅くすることが分かった。さらに空腹感を抑制して、満腹感を上げる効果も測定された。つまり消化や腹持ちがよくなったということである。これが低カロリーの健康食である和食を支えている。

また、だしを飲んだ後になんだかほっとするように、身体だけではなく心にも良く、ラットの実験では攻撃性や不安を抑える効果が見られている。その他、疲労回復や高血圧の抑制の効果もある。


とにかく、だしはすげぇな!というお話でした。だし飲まなきゃな!

ただ、私のようなデブ食を安易に続けていると、出汁の嗜好性は抑えられてしまうようで、安易にカロリーに釣られず、気をつけて、だしを摂ってかなきゃいけないなと思った!

あと、味が薄いとか言われて、欧米人に和食の旨みが伝わりづらいのは、和食を食べる続ける経験が必要だからなんだな。そういった意味でも、家庭での食育が重要になってくるみたいです。

すごく面白いお話でしたよ。
スポンサーリンク

5 Comments

ミサイル超獣 さんのコメント...
先日頂いたスペイン料理のモツ煮込みカジョスに乾燥粉末ピメントが使われていましたが、これが味、食感共にえらくかつおぶにしソックリでした。

日本に比べて概念化、体系化は進んでないものの
だしや旨味といった要素は決して西洋人に理解できないものではなく
似たような機能を持ったものが何かしら他に使われているんじゃないかとふと思いました。
2017.01.23 | #gpPih1yM [edit]
六会 さんのコメント...
×生産資源科学部
○生物資源が各部
出身学部なもんで気になって…。
2017.01.26 | #- [edit]
管理人 さんのコメント...
>ミサイル超獣さん
たしか、少ないタンパク質から満足感を得ようとする日本の食生活によって育まれたとか言ってましたね。我々が馴染んだ”だし”は欧米食習慣と両立しずらいというとこが面白かったです。

>六会さん
ご指摘サンキュー!
生産工学部とごっちゃになりがちなんだよね。
2017.01.29 | #- [edit]
ぴーさん さんのコメント...
欧州と米国は分けて欲しいなと。
米国は国が大きくて人口密度がひくいので、発酵食品の文化が育ちません。
だから米国では旨味ある食事がないかと。
チーズも途中で止めるプロセスチーズです。ピクルスも酢漬けでしか、ありません。

欧州だと、ドイツのザワークラフトは
日本の漬物のように、発酵が関与します。生ハムは熟成が進んで旨味成分が出てきます。フランスやスイスのチーズも発酵がきちんと進んでいます。
トマトソースには、グルタミン酸がふくまれます。
少なくとも、ドイツ、フランス、イイタリアの方は日本料理の旨味はわかってもらえると考えています。

イギリスと米国は難しいのかもしれませんが。
2017.01.30 | #- [edit]
管理人 さんのコメント...
>ぴーさんさん
鰹節の旨みのイノシン酸はお肉の旨みでもあるので、本来ならアメ人を含めた欧米食の方々にも違和感なく受け入れられるはずですよね。それでも、経験学習の効果が高いということで、旨みそのものが絶対的な魅力として評価されているわけでもなさそうというお話だったと思います。

昆布だしに関しても、日本人が評価しやすいのは味覚や文化が進んでいるという理由よりも、その地で調達できる食材に基づいた食生活の積み重ねの結果だと思います。海藻を消化できる身体になっていたり、栄養学的に貧しい食に順応した文化が、カロリー過多な現代に至って、見直されているのではないでしょうか。
2017.01.30 | #- [edit]

コメントを送る



管理者にだけ表示を許可する

該当の記事は見つかりませんでした。