「横浜学 ~横浜とクラシック音楽~」の感想 - 恰幅の良い彼のblog
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「横浜学 ~横浜とクラシック音楽~」の感想

関東学院大学と横浜ウォーカーのコラボ講座「横浜学」

第21回目のテーマは”クラシック音楽”です。

タイミング的に「横浜音祭り」に絡めた企画だと思います。
3年毎に行われるトリエンナーレの隙間を、何ぞアートなイベントで埋めようぜという目論見でありますが、街に音楽があふれ出してる気配は全く無くて、市民でもよく知らない人の方が多いのではないでしょうか?

まぁ、どんな、素晴らしいコンサートを開いても、観客はせいぜい2,3000人。しかも招待客ばっかという状況では祭りようがないんだよな。

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一人目の講師はフェリスの学長さん、テーマは「横浜と洋楽の受容」です。

明治維新を期に、短い期間で文化をガラリと入れ替えた日本。音楽においても西洋のものが大量に入り、今日、我々が自らの音楽環境を顧みた際に思い浮かぶのは、小唄や三味線の旋律ではなく、西洋音楽のそれとなっている。

洋楽の大きな流入ルートは軍楽、賛美歌、唱歌の3つで、いずれも横浜と関係が深い。

軍楽は山手に駐留した各国の軍隊がもたらしたもので、当時、薩摩の学生がイギリスから軍楽の指導を受けた山手妙香寺には、吹奏楽発祥の地の碑がある。また、彼らが演奏しながら横浜の街をパレードする風景もあり、市井の人々も洋楽に触れる機会があった。

賛美歌は 教会の他、山手のミッションスクールでも広く歌われ、教育として日本で最初に取り入れたのはフェリス。この時、歌われた曲は「主われを愛す」で、複数の旋律が存在するが、当時の使われたものを講師の研究で特定した。はじめは英語で歌われ、やがて日本語訳詞もつけられたが、日本語に対し、音が足りなかったり、余ってしまったり、苦労の跡が見える。

唱歌は国の教育に取り入れられ、全国に伝播していった。
文語教育を念頭に置いた「仰げば尊し」のように、歌を通して言葉を教えるような意図もあった。その後、横浜で洋楽に触れた滝廉太郎による口語の歌。山田耕筰や團伊玖磨などにもつながっていく。

日本語の多い音節に対応すること。雨と飴のように、同じ読みでも複数の意味を持つ詞に、音の高低をリンクさせること。モーラ(拍)を反映すること等。日本語で歌う曲を綺麗に成立させるための作曲の基礎を彼らが作っていった。

学長は意外にお若い。宗教音楽の研究者に想像するような凝り固まったところがなく、教育者としても魅力的に思えたよ。

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2人目は東京芸術大学特任教授で音祭りのディレクターさん。
音楽番組やコンサートの曲目、演奏順、紹介の流れを決めていく構成作家が本業らしく、テーマは「横浜音まつりの構成」について。

手がけるコンサートには大きく4つの型がある。
特定の作曲家や国、祝祭等のテーマにちなんだ曲を集める”テーマ貫徹型”。あれこれやりたい女性歌手を、一つのコンサートの中で女、母、おばちゃん、人という4つの切り口で演出するような”ブロック型”。いろんな具をまばらに散らした”かやくご飯型”。年越しの瞬間に「ボレロ」の演奏が終わるタイミングを合わせたジルベスターコンサートは”イベント型”。

横浜は興行の地として独特で、東京と同じアプローチではダメ。
それなら東京に行くよということになってしまう。また、地方のように、演者が有名であることが何より大事というわけでもなく、ご当地感や市民とのコミニケーションも問われる。これに関しては逆に東京では広すぎてケアできないことである。

音まつりでの注目は視覚障害者と晴眼者による暗闇の中の演奏会「ミュージックイン・ザ・ダーク」。ショートフィルムの上演後に実際に使われた音楽を演奏する別所哲也プロデュースのイベント。

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3人目はアナウンサーの朝岡氏。
単なるファンと言うだけでなく、自ら演奏もするし、コンサートソムリエという肩書でコンサートの仕事も多いみたいよ。

テーマは「クラシック音楽の楽しみ方」
やはり、横浜でのコンサートは”横浜でしか味わえないもの”というのが、一つのポイントになっている。

自ら主催している「山手プロムナードコンサート」はフォルテピアノ、バロックバイオリンやチェンバロなどの古楽器を演奏する企画で、山手聖公会やベーリックホールなどを使っている。

会場のキャパは小さいが、そもそも古楽器の音は大きくなく、時に不揃いなこともあり、ちょうどよい大きさ。同時に当時の貴族のサロンのような雰囲気を再現できる面白いコンサートになっている。

国際親善事業としては2011年から横浜に来た「MMCJ」
指揮者の大友直人さんらが音頭を取るプログラムで、世界各国からオーディションで選ばれた受講生が横浜で3週間合宿しながら、一流講師の指導を受ける内容。みなとみらいホール等が使われている。


座談会では主にクラッシクコンサート界隈の諸々について。

興行に関しては、東京以外は本当に苦労している。
内容もどうしても定番の名曲ばかりになってしまうのだが、そこにご当地出身者や地域性を絡めて、どう広げていくかが試される。

学校などを巡るコンサートのプログラムももう何十年も変わっていない。明治以降の国家のお手本でもあったこともあり、音楽においてもドイツ偏重の傾向が拭えない。

音まつりは逆に様々なジャンルの音楽が一同に介しているが、それぞれの演者や仕事の文化が全く異なるので、運営はすごく大変。ただ、集めてくれば成立するものではない。

クラシックは特にファンの高齢化が著しい。
席も老人生活に好都合な昼公演の方が売れている。
チケットが高い、演奏時間が長い等、ハードルもあるのだが、若者や働く世代から遠ざかっていくことに危機感を抱いている。少しでも裾野を広げるべく、魅力をわかりやすく案内する司会者の力は重要だと思っている。

クラシック志向が減っているのは音楽といえばクラシックであるという押しつけが終わりつつあることも示している。これからはファンの人数は減るかもしれないが、本当に好きな人が残っていくだろう。

また、聴いて楽しむだけでなく、参加していく人が増えるかもしれない。
音楽は尊い芸術であるから、かしこまって扱わなければいけないというのはここ100年の姿勢であって、本来はもっと自由で楽しく触れるものだった。また、そういう時代になるのかもしれない。

音まつりの裏側についてはあまり語られなかったんだけど、講演としては、色々興味深く聞けたよ。最近は関学の先生が絡まない回も増えたけど、テーマに対して人選がしっかりしているので、むしろクオリティは上がっているように感じます。そして、やっぱ学者仕切りでなく、本職が話をすすめると滑らかに進行するなと感心したわ。

なお、次回は「横浜と自動車」だそうです。
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