遠隔地からの災害ボランティア参加について - 恰幅の良い彼のblog
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遠隔地からの災害ボランティア参加について

先週末から被災各地で災害ボランティアの活動が始まり、数多くの参加希望者が集まっているようです。


 >熊本県社会福祉協議会:災害ボランティア情報(第12報)


大型連休を控え、首都圏でも、一発助けに行ってやろうじゃないか!と目論んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

あえて、言います。「ちょっと待て」と。

今回は遠方からのボランティア参加について書いてみます。



● 災害ボランティアバスが流行しました

東日本大震災では全国各地から集結した災害ボランティアが活動を行いました。その数はなんと累計150万人以上とも言われています。


この数を支えたのがボランティアバスの仕組みです。遠方に住む個人がアクセスしづらい被災地に向けて、観光バスなどを仕立てることにより、大量の人員を送り込む作戦です。

自治体や社協だけでなく、企業や各種団体も独自のボラバスを次々運行、旅行会社が有料のボランティアツアーを組むことも珍しくありませんでした。

ちなみに石巻を海賊のように切り取ってくれた某平和の船が調子に乗れたのも、現地の受け入れ体制が整う前から、派手に募集をかけて、首都圏発のボラバスをガンガンぶち込んだ結果です。

我が地元でも「神奈川災害ボランティアネットワーク」が母体となり、実に360便を越えるボラバス派遣を行ったようです。



● ボラバスの功罪

実際、広範囲に及ぶ被災地では津波で堆積したへドロを掻き出す作業、特に重機の入れない家屋内の泥出しに多くの人手が必要でした。


これを処理するためには仙台や盛岡、近県の人員だけでは心もとなく、遠方からの駆けつけ支援は大きな力となりました。


ただ、良いことばかりではありません。

災害ボランティアで一番の問題は受け側で参加人数をコントロールできないこと。需要以上に人が集まってしまうと、助けは一転、現地を圧迫する重圧にもなります。

しかし、ボラバスの運行は参加者や送り手の都合を優先して、どうしても週末や連休に集中してしまいがちなのです。個人参加も含めて、皆が集まるタイミングでの参加は、本音を言ってしまうと、あまり歓迎できるものではありません。むしろ平日の方が嬉しいのです。

ボランティアの活動は被災者からの依頼に基づいて発生しますが、その時に相応の依頼に寄せられているとは限りませんし、そもそもセンターの仲介能力には自ずと上限が存在します。スタッフの人員、作業道具や広範囲に及ぶ現場への輸送手段の関係です。


もちろん、活動出来ない事があることは予め告知されていますが、受付終了で冷たく切れば済むという話でもありません。はるばるやって来た人たちはなかなか納得できないもんね。

受け側も皆さんの参加希望に応えられるよう努力して、なんとか依頼をひねりだしたり、街を走り回って大口の仕事を探してくるような対応をしています。

でも、これっておかしな話ですよね。

本来、被災地の要請に応える形のボランティアが、いつの間にかお客さんのようになって、被災地がその接待に追われる構図です。

センターによっては早々に活動を停止してしまうところも出てきますが、それは必ずしもニーズの充足を示すものではなく、現場がすり減って、もうボランティアは勘弁してくれと音を上げる事例も耳にします。



● 単発での災害ボランティア参加は有効か

水害では大規模な単純作業のニーズが発生しますので、その日、初めて参加した人も、いくらか体を動かすことでお役にたてます。


しかし、本来、参加者の活動期間は長ければ長いほど好ましいのです。

作業に手慣れ、派遣チームを指揮できる存在。現地の方々を関係を築き、ニーズを引き出すことが出来る存在。また、センターの業務に通じ、運営を担える存在。現地での活動はこれら長期参加者とリピーターによって支えられていたのが実情です。この層が厚くなれば、被災地での支援活動の質はさらに向上します。

単発参加のボランティア達が機能するのも、現地で上手くコーディネートされてこそ。ただ、やみくもに人数が集まればいい、人数が欲しいという話ではないのです。

ちなみに某KSVNには何度も要請を出しました。ボラバスより、1人でも、2人でも、スタッフ級を面接して、寄こしてくれませんかと。実際、該当する登録者には事欠かない状況だったはずです。


でも、やってくるのは、他のどこよりも遅く着き、早く帰って、対応スケジュールを乱すバス便。依頼者に記念品をせがんだり、昼食の余興に被災話をさせたり、現地での支持を聞かないことで要注意となってしまった神奈川バスだけでした。

彼らなりのルールや思いはいろいろあったみたいなのですが概ね内向きで、現地とのすり合わせをせず、フィードバックも受けないため、最後まで向上しなかったなという印象です。大田区バスのような素晴らしい活動連携の傍らで、なにかやらかすと「また神奈川ですか」と言われ、恥をかいたものでした。

鶴屋町のコーディネーターの中では、本来、手段でしかないボラバスの運行が、いつの間にか最も大きな目的にすり替わっていたのかもしれません。完全にバス屋さんになっていましたね。


その支援は被災地の状況やニーズをどれだけ汲み取っていたのか、ただ自分達の元に続々とやって来る県民の参加希望に応えることしか見えなくなっていたのかなと想像します。

さらに蛇足ですが、宮城よりもさらに遠い岩手にバス便を出すために、神奈川県は現地に専用の宿舎まで建設しちゃいます。確かに現地は人手を必要としているかもしれません。でも、それは必ずしも神奈川県民である必要はありませんし、我々はそこまでして岩手を目指す必要もないのです。

それでもって、肝心な活動はゴミ拾いやお茶会って・・・
災害支援のあり方として、やはり視野が狭かったと言っていいでしょう。



● そのコストに見合うのか

首都圏からのバスは、前日の夜に出発して、車中泊しながら現地に移動。当日に活動して、夕方帰路につき、途中入浴などを済ませつつ、また車中泊。翌朝になってやっと帰ってくるという実にハードなスケジュールでした。


ボラバスには補助金がついて、比較的安価に乗車できましたが、平時の高速バスを参考にすると、横浜から宮城まで往復1万円ほどの旅費でしょうか。それに加え、約36時間の身柄拘束。これも賃金で換算していくらになるでしょうか。往復飛行機だったり、現地の宿手配があると幾らになるでしょうか。


活動時間は基本的に9時ー4時の設定ですが、移動や手続きの時間、各種休憩などを除くと実質3、4時間も動けるかというのが、災害ボランティアの実働です。さらに、いざ現地にたどり着いても仕事にあぶれたり、雨が降って、何も出来ずに帰った参加者も数多く存在します。

軽作業の担い手として引っ張ってくるには明らかに高コストといえますよね。ぶっちゃけ、その支出でもって仕事を失った被災者達を雇った方がよほどためになったのではないかとも考えられます。

東北では未だに現地にへばりついて「まだまだボランティア参加が必要です」などと勧誘している平和の船もいますが、このように何年も継続するニーズが本当にあるのならば、現地の人員を雇用してしっかりケアすべきです。

災害ボランティアもまずは近隣で助け合うのが基本。せいぜい宿や食料、燃料を心配せず、楽に日帰りできる隣接県までというのがセオリーだと思います。

遠方からわざわざ駆けつけて活動するのは、その必要性故ではなく、参加者自身の好奇心や満足、経験のためなんだと自覚しなくてはなりません。



● 我々は九州に飛ぶべきなのか

だいぶ、寄り道をしましたが、我々首都圏の人間が勇んで九州に向かうべきかという話に戻ります。

現地の災害ボラセンが広報を重視していないせいで、いまいち状況がつかめませんが、例えば熊本市では1日5、600人の活動が続いているようです。


都市のど真ん中で受け付けているので、参加者は集まりやすいとは思いますが、体制が整っていないこともあって、ほぼ上限いっぱいで動いている印象ですね。1000人までかなという感じ。

今回は水害を伴わなかったため、ボランティアの活動内容は屋内の片付けや清掃、海区周辺の瓦やガラスの処理、物資集積所での仕分け等がメインになってくると思います

危険度判定が出揃っていないため、未だ本格的な活動に移れていないという話もありましたが、実際、赤紙や黄紙の屋内には入れないルールなので、あの被害を見て我々が想像するよりも対応可能なニーズは少ないと思います。

ポイントは県内に500近く存在する避難所への支援をどこまで踏み込んで継続するつもりなのかということ。現状でも多くの人員が避難所清掃などに撒かれているようですが、避難者からやることを奪い過ぎないほうが良いという考えもあり、加減は難しいですね。

そもそも避難所対応こそ、顔つなぎが大切で、継続的な参加が求められるものです。新参が入れ替わり立ち代り訪れても、かえって負担に思われることもあるだろうなぁと心配します。

どのニーズも時間経過とともに落ち着いてきます。そして、熊本県民だけで178万人、福岡県民は500万人が存在します。わざわざ遠方からかき集めなくても、1000人単位の人手ならば十分に調達することが出来るのではないでしょうか。

少なくとも、今のタイミングの渡航は控えるべきだと考えます。
現地からの「足りない」の声を聞いてからで決して遅くはありませんよ。



● ボランティア参加者数をコントロールすることが課題

ゴールデンウィークには殺人的な人数がボランティアに集まると予想されますので、今頃、現地はその対応に戦々恐々としていることでしょう。


ありがたいことに我が国には心優しい人間が多いですから、こういう時に人出が集まらないことは心配しなくても良さそうです。むしろ、過剰な分をどう抑制していくかが難しいのですが、現場ではせいぜい”県内限定”をかけることくらいしかオプションを持たないのが現実です。当日にならなくては何人来るかもわからない、行き当たりばったりの対応に日々を忙殺されることになります。


もし、1000人分のニーズに対して、きっかり1000人を集めることができれば、もしくは1000人の参加予定者のため、事前に1000人分の仕事を用意しておくことができれば、せっかくの善意を無駄にすることもなく、現場の負担もだいぶ減るはずなのですが。

社協はボランティア集客に苦労する平時の感覚を引きずっているのか、気軽な当日参加の足かせになる予約制には乗り気でなく、少なくとも新潟の時から指摘されるこの問題に解決策を見出していません。

簡単なホテル予約の仕組みで事足りるはずなのですが、防災科研でも作らないのかな。この際、Google様あたりに災害ボランティア参加の予約システムを提供してもらいたいですね!いいかげんに!



● 誠にありがたいことではありますが

まとめると、需要以上に集まるボランティア、特に遠方からの単発参加に関しては、必ずしも効果的な支援ではないよというお話でした。

しかし「沖縄、北海道からぶっ飛んできました」とか「車で~時間ずっと走ってきて、これから同じように帰ります」みたいな輩は、まぁ気合からして違いますし、実際、良い仕事もするし、こっちが感動させられることも多々ありましたよ。ボラバスの参加者達もしんどいだろうに、よく頑張ってくれました。そういう気持ちは被災者にもきっと良い形で伝わるのかなと感じます。


よく「ボランティアは誰かのためにするのではなく、自分のためにさせてもらっているのだ」等としたり顔をするオッサンがいますが、これはカッコつけた謙遜の言葉でなく、ガチなのだと思います。被災者支援の建前の下で、災害ボランティアが参加者のための活動になっている面も決して否定はできません。


でも、つくづく非効率な自己満足だったとしても、活動した分だけ被災地に成果を生むのは間違いありません。また、活動で何かを学び、それをきっかけに、将来、誰かの役に立つことになれば、十分に元はとれます。

言葉は悪いですが、被災地の風景を教材として、アクティビティの舞台として、人々の意識を高めることは国としてプラスなのかも知れません。

ただ、参加のハードルがあまりに高い時は無理をセず、チャチャッとお金を送ることも大きな支援になることは覚えておいてください。


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7 Comments

横浜市 さんのコメント...
働いて納税してください。
2016.05.02 | #- [edit]
管理人 さんのコメント...
>横浜市さん
してます。
気に食わないなりに、もうちょっとマシなことを考えてください。
2016.05.02 | #- [edit]
taputapu fan さんのコメント...
いつも拝見しています。恰幅さんかっこよすぎ!わたしも見習いたいです…。
とりあえず寄附するのが一番だって思ったのですが、どれくらいがいいのでしょうか?
恰幅さんはいつもどれくらい寄附されてますか?
あと、どこに寄附するのが一番有効に使ってもらえるのでしょうか?
2016.05.06 | #RFru2Og2 [edit]
管理人 さんのコメント...
>taputapu fanさん

窓口が多くて迷っちゃいますよね。

少なくとも、Googleに広告出してまで、自分たちにお金を集めようとしている団体や企業は避けた方が良いと思います。そういうのに限って在京の番組によく呼ばれたりするんですが、それっぽい写真を撮りに来る以降、何故か現地での活動の噂を聞きませんね。

先だって、国や自治体、社協、赤十字、日本財団をオススメしましたが、やはりお金を託すなら被災者に直接届く義援金の形が良いと思います。これも様々なルートがありますが、最終的に義援金配分委員会に集約されますので、分かりやすい赤十字宛で良いのかなと思いますよ。

私の金額に関してはご容赦ください。
控除を気にする必要もない程度です。
2016.05.07 | #- [edit]
s.o. さんのコメント...
いつも拝見しています。豊富な知識と経験に裏打ちされたご意見、参考にしています。
納税は大事な国民の義務ですが、税金の使われ方に問題があるからこのような(義援金の必要性など)事態が発生するのではないでしょうか。「横浜市」さんが公務員かどうかわかりませんが、公務員の方に是非読んで考えてもらいたい記事だと思います。
2016.05.07 | #- [edit]
管理人 さんのコメント...
>s.o. さん
政府なり、お役所の動きは傍から見ていて歯がゆく感じることもありますが、仕方ないという気持ちも大きいです。そこを含めての災害なんだと思います。

もちろん緊急対応の備えはしてあるのでしょうが、もっぱら書類仕事の人が突然、数万人分の物資を差配することになったり、機転を利かせたり、自己判断したり、普段の仕事と全く性質が異なる動きを求められます。

中には経験を通して覚醒する人材もいますが、全く向いてない人もいますし、自身が被災したショックもあって、完全に潰れてしまう人もいます。ただ、公の職務を担った皆さんはみな半端なく頑張っていることは確かなのです。

現地で驚くのはインフラ復旧の力強さで、被災地を助けるべく、全国の企業も一丸になって取り組みます。もちろん被災者が元の生活を取り戻すことは難しいですが、命と最低限の生活を支えるという面において、日本という国に守られていることを感じます。

義援金やボランティアはそれらに代わるものでなく、大きな支えの中のほんの僅かな隙間を埋めるものでしかありません。ですから、血眼になる必要は無いのかも知れません。

なお、日頃からブログには色々なご意見が届きますが、説教臭い記事には特にカチンと来てしまう輩がわき出てきます。要は私を貶めて、溜飲を下げたいだけなので、深い意味は無いと思いますよ。
2016.05.07 | #- [edit]
s.o. さんのコメント...
承知しました。恰幅さんの懐の深さにますます感服でございます。
2016.05.07 | #- [edit]

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