食情報の空白がなんとな~く埋っていった話 【10周年③】 - 恰幅の良い彼のblog
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食情報の空白がなんとな~く埋っていった話 【10周年③】

私という豚が、鼻息荒く食べ歩きを本格化させた頃、

ネットではライブドア、ロケタッチグルメの前身である
「東京グルメ」に大変お世話になっていました。

もともと米国にサイトのひな形があったのでしょうし、
掲載店や対応エリアも今日のものとは比較にならない規模でしたが、
市井のクチコミがもたらす忌憚ない情報は、とても新鮮に響いてきました。

あれをほぼ個人で運営していた中の人や、
情報を投稿して盛り上げていたレビュアーの方々はすげーなと思います。

他にも食系の個人HPはいろいろ立ち上がってはいましたが、
せいぜいヤフーカテゴリで俯瞰できる範囲の世界でしたよね。

お店の数十も掲載すれば、もう立派な部類。
4桁の店舗紹介が、なんも珍しくなくなった今からするとチンマリですが、
掲載されているのは、評価が確立しているお店が中心だったので、
読んでいて、物足りなさは感じませんでした。

鉄板といっても、マスコミ常連未満の良店情報は
近隣生活者のクチコミから外に出なかった時代でしたから、
地縁のない場所を歩く際にはとても役に立ちましたよ。


ただ、私が愛読していたサイトで、
今も更新を続けているとこはほぼありません。
個人サイトがやたら短命であるのは、当時から変わらないのかも。

だいぶ手軽になっていたとはいえ、
管理にそれなりの技術や手間を要した時期においては、
エンジニアや学生がHP運営の担い手になる例も多かった気がします。

まず、サイトを作ってみる意義が先行して、
そこに手近な趣味をはめ込んでいったような形で、
必ずしもコンテンツ志向、発信志向では無かったのかもしれませんね。


食レポ文化の深度がグンと増したのは、
やはりブログの登場以降だと思います。

発信者や機会の裾野が広がることで、
よりローカルでマイナーな対象までケアされるようになりました。

いざ流行りに釣られてブログを作ってみても、
ほとんどの人は語るべきコンテンツなど持っていないものです。

その点、日常をちょいと切り出すだけで、
広く共感を得やすい食ネタは実に手軽。

写真さえ貼っ付けてあれば、それなりに訴求しますし、
とりあえずのネタには最適だったのでしょう。

HP時代と異なるのは、その扱いやすさだけでなく、
付属するコメント機能によって、反応が即時に帰ってきたことです。

もちろん、それまでも掲示板等のツールはありました。
しかし、それぞれの記事に直結するコメントは、
より身近な反応として、コミニケーションを活性していきます。

趣味の成果発表という一方通行から、
ネタを肴にした双方向のやりとりへの進化がとても楽しく、
ブロガー達はどんどん調子に乗っていったのです。


市井の発信者はなにも人気スポットだけに偏在しませんから、
雑誌等には露出しない様々な場所の様々なお店が記事になりました。

それまでネットで地元のお店を検索しても、
電話帳から引き抜いた番号と住所しか出てこなかった状況を、
こうした発信がどんどん肉付けしていきましたね。

メジャー未満の街や店について、素人がつたない文章で紹介する。
こう書くとかなりイマイチで魅力薄なんですけど、
ある人にとってみると、それが万金の価値で輝く場合があります。

体裁以前に、まず情報が世に出てくるということが有益。
何事も0から1への飛躍はものすごいことなのです。

こうして、商業サイトが人を雇ってコンテンツを増やしていくのとは、
比較にならないスピードと規模でもって、この分野の情報が増加しました。

うちも当初は読者に観光客を想定していたこともあって、
近所のドベた下町店ネタにはさしたる需要が無いと思っていました。
ただ、日頃、店先を通る度に積もっていた好奇心や義務感でもって、
近所の店巡りも記録&レポするようにはしていたの。

やがて、そうしたマイナーレポの方が自分の楽しみになり、
サイトの個性を担っていくとは思いもしませんでしたよ。

世に情報が増え、拡散していく事によって、
既存の価値やその求心力がさらに増していく一方で、
身近な日陰にも注目が集まり、新たな価値や楽しみ方も生まれました。

個人ブログ等が発信した隙間情報によって、
我々の日常生活は分厚く底上げされたなと感じています。

私が面白いと思ったのは、
皆が情報の空白を埋めるべく、意義ある発信をすべく
大義を背負って、動いていたわけではなかったということです。

自分の小さな好奇心を満たしたり、
ちょっと褒められて、つい入れ込んじゃったり、
なんてことない日常発信の断片が積み重なった結果、
今日の充実が形作られちゃったというのが、凄くリアルですよね。

社会というのは誰かが旗を振って導くのではなくのではなく、
技術の革新を背景に、あるべき姿へ自然と作られていくのだなと感じました。

食の分野でも有名ブロガーの活動が目立つことがありますが、
果たして彼らが自分の足や経験だけでもって発掘&発信した情報がどの程度あるのか。

実際にすごいのは、その背後に
彼らが上澄みを掬う大海が出来上がったことなのだと思います。
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9 Comments

さんのコメント...
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.08.19 | # [edit]
管理人 さんのコメント...
>秘密さん
長文すみません。
多分、まともに読む人はいないので、
あえて削らず、贅沢にスペースを使わせてもらってます。
2015.08.19 | #- [edit]
さんのコメント...
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.08.20 | # [edit]
ミサイル超獣 さんのコメント...
書く側でいることで好奇心の後押しになってくれるのが自分としては有難いですね。

そういう楽しさを始める前から知っていたというのも、先人の試行錯誤のお陰と感謝してます。
2015.08.20 | #gpPih1yM [edit]
管理人 さんのコメント...
>秘密2さん
色々ご心配かけて恐縮です。
実は逆で、長文もスルッと読めたというお褒めでした。
そういうのは公開で書いてくれればいいのに!!
でも、自分としては上手く思ってないので、微妙な返答をさせていただいた次第です。
閉鎖に関しては大丈夫。ただ休止に関しては、近々にちょい怪しいタイミングがあるので、何とか乗り切れればいいなと思っています。

>ミサイル超獣さん
確かに。
書くために食べるのは負担でもあるのですが、一方で、自分の視野や行動範囲を広げたり、探求の後押しにもなりますよね。
私もサイトやってなかったら、もっとずっと狭い範囲で生きていたと思うな。
2015.08.20 | #- [edit]
たkaし さんのコメント...
10周年おめでとうございます。恰幅さんのおかげで鶴見の「魔窟」栄理(近所に移転しましたが、相変わらず変な建物の地下一階です)や横浜中華街の天龍、その他諸々のお店を訪れることができました。これからも楽しみに拝読させていただきます。
追伸 鶴見のレマーリはさすがにまだ訪問できておりません…敷居高過ぎです。
2015.08.22 | #- [edit]
管理人 さんのコメント...
>たkaしさん
いや、むしろ「レマーリ」にすぐにでも行くべきですよ!!
おいしいよーー!
2015.08.22 | #- [edit]
321 さんのコメント...
こんばんは。時々思い立って(お正月とか)拝見していたため、この壮大な特集に気づくのが遅くなりました。大変に興味ぶかいです。(「映像の世紀」的な番組を観ているみたいです)いつも思うのですが管理人さんが考えを伝える言葉の豊富さや表現の的確さには惚れ惚れします!(←もしかしたら管理人さんの意図と私の理解は違っているかもしれず、だとしたら僭越ではあるのですが、でもとにかく読んでいる側にも腑に落ちます)今日①②③を読ませていただきましたが、もったいないのでじっくり読ませていただきます♪ お忙しいに違いありませんが、これからもずっと続けてくださいね。(長文すみません。)
2016.01.12 | #CkdVqA2Q [edit]
管理人 さんのコメント...
>321さん
付喪神ではありませんが、
続けているうちにいろいろ思うことが出てきますね。
もっとも、ほとんどの読者がまともに読んでくれていないはずなので、じっくり読んでいただけるという言葉が嬉しいです。
2016.01.13 | #- [edit]

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